現場を経験してわかったフットケアの重要性

高校を卒業して、働きながら看護学校に通い資格を取得し早30年経ちました。
看護学校卒業後は透析以外の分野も経験したいと思っていましたが、透析看護の奥深さを知り現在に至ります。
その中でも、フットケアに出会ったことが、私の看護師としての大きな転機になりました。
透析患者さんは重症下肢虚血になりやすい為、治療には難渋し悩むことが多々あります。
仁誠会クリニック大津は20年前よりフットケアに取り組んでいました。
移動がきっかけで、フットケアチームに入り、それまで、足がいかに大切であるのか考えることはありませんでしたが、
実際に、ほんのささいな傷から切断になる患者さんに出会い、フットケアの重要性を痛感しました。

「足を守りたい」という強い思い

熊本地震で、割れたガラスを踏んでできた足の傷の処置が上位であったという報告もあります。災害が起こった時に逃げる足がないと、自分の命を守ることが出来ません。
また、ケアをしていくなかで、患者さんの思いを聞くことが出来ます。
下肢切断になった患者さんは、足を失った喪失感に加え、ADLの低下やQOLの低下だけでなく、経済的負担や家族の生活にも影響をあたえ、家族の負担になるという思いで、生きる意欲も失くしてしまったと。もっと早く気づいていれば・・・・。
この経験から「足を守りたい」という思いが強くなっていきました。

自分の足に関心を

勉強会やセミナー・学会に参加し驚いたのは、欧米には「足病医」という足の治療の専門家がおり、適切な治療を行うシステムが整っているということです。
日本では足にトラブルを抱えていてもどの診療科に受診すればよいかわかりません。
足を守るためには、足の異変をいち早く発見し、早期のうちに治療を行う事そのシステムを整えることが一番の近道だと熱い思を講演で聴き感銘を受けました。
透析室で働く、私たち看護師の役割は、透析だけするのではなく患者さん自身、質の高いQOLを保てるように自分の足で通院できることも重要であると考えます。
そのために看護師として出来る事は何だろう。もっと足について勉強し足の大切さを患者さんに伝えていかなければと思いました。

地域に拡げるフットケア

一般社団法人フットケア学会にはフットケア指導士という認定資格があることを知り、実務経験の提出、セミナーの受講、試験などを終えて資格を取得しました。
取得後は法人内でフットケアMTを開催し、情報の共有を行いスタッフの足への関心を引き出すことが出来たと思います。
毎年、学会に参加し、足に対する熱い思いが集結した仲間に刺激を受け、活動の一環として、熊本のフットケア指導士数名と足仲間で、2月10日のフットの日に啓蒙活動とし講演・実技講習や、学会での指導士による[絆でつなぐフットケア]実践たすきリレーへ参加し、県外の指導士や医師、他職種との繋がりもできました。
今後は、透析患者さんだけでなく地域へ、フットケアの重要性を広げることを目標に活動していきたいと考えています。
また、患者さんの望む人生を共に考え、寄り添い、私の看護師人生をかけて足を守るためにできることを全力で行いたいと思っています。