仁誠会 看護部Nurse

透析は学びの看護

透析治療を受ける、患者さんの苦痛を和らげ、時には話し相手となりながら、セルフケアがうまくできるように支援するのが、透析看護にあたる看護師の役割です。
透析治療を受ける患者さんは、ほぼ永久的と言える期間、透析を受け続けなくてはいけませんので、ライフスタイルに合ったアドバイスも必要になります。が、押しつけるのではなく、共に考え患者さんにあったペースで透析生活を送っていただくような支援を目指しています。
私たちは、患者さんからたくさんの学びを受けます。
看護師は、患者さんの抱える病態も把握するため、情報を取り知識を深める必要があります。透析治療と長いお付き合いをする患者自身の声に耳を傾け、そこから見える患者さんの心理や『病みの軌跡』を教えていただくことで、患者さんとの信頼関係を築き、これからもより深くかかわりたいと考えています。
そのために、たくさんの取り組みを行っていますので、ここに少し紹介したいと思います。

  • 透析生きがいプラン
    ~元気で長生きをサポート~

    全員の患者さんの生涯を通じて、安心・安全な透析治療と介護サービスを提供することを心がけ、「患者さんの元気で長生き」をサポートしていくには、当法人で取り組んでいるダイバージョナルセラピーには「老いることは楽しむこと」というキーワードがあり、それをもとに『生きがい』に着目した「透析生きがいプラン」を作成しています。
    患者さんの、「孫のためにも元気でいたい」「今度旅行にいきたいの」などの日常的な希望を叶えるために、日々の透析を苦痛に感じさせるのでなく、安心して、楽にできるようにするために、他職種も一緒に、日々のカンファレンスで検討・情報を共有しています。
    また、その人の背景を知るために、エコマップを作製し、誰と仲良し、どこへ行くのが好き、などの情報を盛り込みます。それ以外にも、患者さんの生い立ちから病気を発症した現在までを語っていただく「病みの軌跡」にも取り組んでいます。

  • 家族看護
    〜関係性の構築〜

    透析は、途中でやめるという選択はほとんどなく、隔に透析を受ける毎日を一生涯過ごすことになります。年齢を重ねるごとに、想像もしていない事柄に出会うこともあります。
    エピソードが、思わぬタイミングでやってくることもあります。そんな時、相手を推し量るほどの気持ちにゆとりがなく、お互いに感情がすれ違う事が少なからずあるはずです。そんな時、問題に対処できるように家族の意思決定能力やセルフケア能力(問題解決能力)を高めえる支援をします。また、最後の時まで、患者さんが自分らしくあるために意思を反映できるように事前指定書があります。何度でも書き直しても構いません。家族で話し合う機会としてもらうだけでいいのです。少しずつ、理解していただきながら前に進んでいけるような支援をします。患者さんとその家族の方に相互理解を深める関係を構築する支援をしていきます。

  • 事前指定書
    〜最後まで自分らしく〜

    病気の悪化や意識がなくなった時、自分で治療に関する意思決定ができなくなった時に備え、意思表示がはっきりしているときに自分で希望する治療方法を文章で指定しておくものです。いつ迎える死について考えることを怖いと感じる人はたくさんいると思います。
    ただ、自分の最期にしてほしい治療は何なのか、家族の意向とご本人の意向が食い違うことがあるのが世の中です。自分がこうしてほしい、最期は家族とともにいたいなどの希望を残すための指定書を書き留めてみてはいかがでしょうか。当法人も、もしもの時にどのような治療をしてほしいか、面談時などで確認させていただき、書面で残しています。もちろんこれに効力はなく、「昨日はこう言ったけどやっぱり変える」ということだっていいと思います。自分の人生を楽しく最期まで自分らしく生き抜くための指定書、一度考えてみませんか。

  • 運動の推進
    ~いつまでも元気で自宅から~

    透析患者さんは、週3回の治療に阻まれ運動する機会が少なくなっています。運動が症状緩和や、体力維持へつながり、運動回数が多いと、生命予後が良いとされています。
    透析患者さんでもできる運動をということで、仁誠会も透析前や透析中の体を動かすことに着目し実践しています。
    「いつまでも元気で自宅から」を目標に積極的に運動を取り入れています。今では、透析前、透析中の運動マグネトレーナーなどに多数の患者さんが頑張っています。
    また自宅や非透析日にも運動に取り組み、習慣化してもらうため、各クリニックで日頃の運動の成果を発揮するためにも、花見や紅葉など楽しみながらできるウォーキングを開催しています。

  • フットケア
    ~最後まで自分の足で~

    透析治療を受けている患者さんは、透析治療を受けていない同年齢の方に比べると、動脈硬化が20年以上早く進行しているともいわれています。このような状態の足に潰瘍や爪の異常が起こると歩けなくなり、最悪の場合は足を切断する状態に至ることもあります。仁誠会では、足病変の早期発見、早期治療に繋げていけるよう、さまざまな手法のフットケアでサポートを行っています。そして、最後まで自分の足で、自分のしたいこと行きたいところに行けるよう支援し続けます。