「体験透析」で得たもの
- 2022.06.11
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- 所属:
- 仁誠会クリニック新屋敷
- 職種・資格:
- 看護師
- 名前:
- S.Y
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仁誠会では、新入職員が患者さんと同じように透析の模擬体験を実施しています。
4月に仁誠会クリニック新屋敷の看護部に入職した職員が経験しました。その体験についてのいろいろな気づきが得られた報告レポートを紹介させていただきます。
「体験透析」 研修報告レポート
3時間30分の透析を実際に穿刺から回収まで体験してみる事で、まず実感したのは時間が長いという事です。ずっと同じ体位でいる事で腰や関節が痛くなったりすると感じた。患者が高齢になればなるほどこのような苦痛を感じるのだろうと思った。また、普段は活動しているはずの約4時間を臥床して過ごすというのは、筋力低下などの廃用症候群に影響を及ぼすのだろうと思う。
そのために透析中は、仰臥位でできる運動やマグネトレーナーを行うことで筋力低下予防をしたり、血流を良くして動脈硬化を予防したりシャントを守る事の出来る有意義な時間にする事が大切なのだと感じた。マグネトレーナーの位置一つでも始めにしっかりと位置を調節してくれたり、実施中にずれる事もあるため途中にも様子を見に来てくれると嬉しいと分かった。また、ベッド上での運動を行う時、患者や運動によってはベッドからの転落の危険性もあると感じた。そのため、怪しいと感じたらベッドを少し低くしたり、ベッド柵は必要かと提案してみるのも良いのかなと思った。
透析中は循環動態が変化するため、患者の状態によって血圧測定を定期的に実施し観察していかなければならない。今回は自分の血圧が低かった事もあり、20分毎に血圧測定をした。3時間30分の透析は長いと感じたが、血圧測定があるたびに「またか」と思った。また、マンシェットの締め付けや蒸れ、チューブ類で行動制限されており苦痛まではいかなかったが不便さを感じた。
しかし、実際の自分の血圧が普段より低かった事で、コンソールのモニターで血圧を自分で見えるようにしてほしいと感じる事ができた。また、血圧が低い事を気にして測定時間を調整してくれたり様子を伺いに来てくれる事で安心する事ができたため、自分が患者へ接する時は気にかけていきたいと思った。
また、穿刺部位の固定テーブやロックの部分が少しかゆくなったり、シーツで巻いてある部分が少し蒸れたりする事が実感できた。抜針防止のためにテープはしっかりと止める必要があるが、ロックの上で固定しないようにするなどテープの位置は大切だと分かった。
環境面では、ずっと動かないと意外と寒く感じたり運動中や後は暑くなったりした。そのため、患者さんの顔色や様子をしっかりと観察して、気が付いたら声を掛けたり調整をする事が大切だと分かった。
今回の体験透析を通じて、長時間の透析時間を苦痛なく安楽に過ごせるように、そして安全に患者さんが透析前から帰宅後も過ごす事ができるように支援していく事が重要だと思った。そのために、今後も患者の立場になって考える事を忘れないように努めていきたい。