血液透析とは
- 2019.07.30
- 仁誠会クリニックながみね 透析について
腎臓とは
腎臓は、わたしたちのからだを正常に保つために、とても重要な臓器です。
腎臓の働きとして「尿をつくる(老廃物をからだの外に出す)」があることはよく知られています。その他にも、「からだの中の水分や電解質(ナトリウム、カリウム、リン等)のバランスを整える」「血圧を調節するホルモンをつくる」「赤血球をつくる働きを助けるホルモンをつくる」「ビタミンDをからだで働ける状態(活性化)に変え、骨を丈夫に保つ」など、さまざまな働きがあります。
腎臓の働きが悪くなると
からだの中で様々な作用をもつ腎臓の働きが悪くなると、血圧上昇、貧血、からだのむくみ、多尿などさまざまな症状があらわれます。さらに、心臓の働きの悪化、意識障害や呼吸困難などの尿毒症となります。
腎臓の働きが慢性的に低下した状態を「慢性腎不全」と呼び、腎機能の回復は難しくなり、食事療法や投薬によってその進行を止めるあるいは遅らせる治療を行います。治療や管理を行っても腎機能の低下が進行すると「末期腎不全」の状態になり、自分の腎臓で生命を保つことが難しくなります。そうなると腎臓の働きを補うために透析療法や腎移植といった腎代替療法が必要となります。
透析療法とは
透析療法とは、人工的に血液中の余分な水分や老廃物を取り除き、血液をきれいにする働きなどの、腎臓の一部の働きを代わりに行う治療法です。
透析療法には、機械に血液を通してきれいにする「血液透析」と、患者さんご自身のお腹の膜(腹膜)を利用して血液をきれいにする「腹膜透析」の2つに大きく分けられます。ここでは血液透析について簡単に説明していきます。
血液透析では、動脈と静脈を皮下でつなぎ合わせて太い血管をつくり、血液がたくさん流れるようにした血管「内シャント・人工血管」や、「カテーテル」などの血液の通り路(バスキュラーアクセス)から血液をからだの外に取り出します。体の外に取り出した血液は、ダイアライザー(人工腎臓)を介して余分な水分や老廃物が取り除かれ、必要な物質を補充して調整された状態で再び体内に戻されます。
注意が必要なこととしては、透析療法は腎臓の働きの一部を補うものであり、完全に代行できるものではないということです。透析療法では補えない部分は、患者さんご自身での食事管理や服薬を守ることが必要となります。また、シャントやカテーテルなどのバスキュラーアクセスを長持ちさせる管理も大切になります。
血液透析は数十年間と長く続けられる治療法ではありますが、食事や水分摂取制限などを患者さん自身でしっかりと管理していただく必要があります。なにかご不明、お困りの点がございましたら、お気軽に最寄りのクリニックスタッフにお尋ねください。
仁誠会クリニックながみね 田上 潤(臨床工学技士)