仁誠会クリニック光の森 最新透析機器へのリニューアル
- 2020.07.20
- 仁誠会クリニック光の森 透析について
2020年6月、仁誠会クリニック光の森では透析機器を最新のものへとリニューアルしました。
透析液供給装置を[DAB-70Si]へ、AB溶解装置を[DAD-70Si]へ、コンソールは全て[DCS-200Si]へとなりました。全て日機装社製の透析機器です。これらのSiシリーズは、Si連携というセントラル(DAB)・溶解装置(DAD)・コンソール(DCS)間の連携を行うことができます。Si連携を導入した施設は、九州では初めてです。
Si連携を行うことにより、様々な利点があります。
まず、毎日の配管内洗浄に使用する薬液の使用量を抑えることができます。
従来品においては、消毒時間の間全てのコンソール(DCS)が一定流量で薬液を取り込み続けていました。その為、工程が終わるまでに多くの薬液が必要となっていました。しかし、Si連携により洗浄の工程で各コンソール(DCS)の薬液濃度を監視することで、設定濃度まで立ち上がったコンソール(DCS)の薬液流量を制御します。
この機能により、コンソール(DCS)の薬液使用量が約半分に削減できます。当院では、以前と同様の濃度設定で運用した場合、次亜塩素酸ナトリウム系薬液の一回使用量が9L前後から3L程度へ、過酢酸系薬液は10.5L前後から5.0L前後まで減少しています。熱水による洗浄でも、温度が充分上がったコンソール(DCS)はポンプ流量を落とし、より末端へ効率よく熱水を送ることができます。
また、セントラル(DAB)から各コンソール(DCS)と溶解装置(DAD)のモニタリングができます。
次に、DCS-200Siの機能についてです。「表示選択」のボタンからモニタリングする項目を選択することもできます。
溶解装置(DAD)とセントラル(DAB)の連携では、セントラル(DAB)がコンソール(DCS)から透析液の必要量を受信し、透析液の溶解量を算出します。そして溶解装置(DAD)に溶解量を伝達し、自動的に過不足なく透析原液を作成することで、不足時の溶解操作の手間や、作りすぎによる無駄を低減することができます。これらの機能により、Si連携は薬液の供給と消毒、酸洗浄を最適化し、安全性向上とコスト低減を両立しています。
「至適透析の追究」ということで、多彩なモニタリング機能を搭載しています。標準搭載の機能としては、透析量モニタ(DDM)と静的静脈圧監視機能があります。
透析量モニタ(DDM)は、透析排液にUV光を照射し、吸光度変化から透析効率を算出するものです。経時的に確認できます。静的静脈圧監視機能は、人工血管内シャント(AVG)の狭窄の早期発見に有用な静的静脈圧のモニタリングを行うことが出来ます。
導入したばかりの為まだデータはほぼありませんが、透析通信システム[Future Net Web]と共に使うことにより、写真のように、過去1年間のデータ推移を確認することができます。
また、血液量モニタ[BV計・BVplus]という追加オプションがあります。
これは血液回路に近赤外レーザー光・近赤外光を照射し、非侵襲的にヘマトクリット値(Ht値)や循環血液量変化率(⊿BV)、プラズマリフィリングレート(PRR)を測定、算出します。Ht値の高低によるリスクや、透析中の血圧低下を予防する上で有用です。
その他にも、VA再循環率の測定や、体外循環血流量モニタといったVA管理で有用となる機能も付いています。
これらの様々な機能を使いこなすため、技士としてこれからも研鑽を積み、より安全で安心できる透析治療を提供していきたいと思います。
仁誠会クリニック光の森 技士部 森崎(臨床工学技士)