フットケア便り1.透析患者さんに起こりやすい下肢抹消動脈疾患(PAD)について
- 2019.05.13
- 仁誠会クリニック大津 フットケアについて
下肢抹消動脈疾患(PAD)
足の血管に動脈硬化が起こり、血管が細くなったり、詰まったりして、足に十分な血液が流れなくなることで発症する病気です。
これにより、歩行時に足がしびれる、痛み、冷たいなどの症状が現れます。病気が進行すると、歩けなくなったり(間欠性跛行)、じっとしていても足が痛むようになったりします。
さらにPADが悪化すると、足に潰瘍ができたり、壊死したりすることもあり、ひどい場合は足を切断しなければならなくなることもあります。
透析患者さんの足病変の特徴は
*膝関節から下の末梢動脈に下肢末梢動脈疾患(PAD)が起こることが多い
*血管の石灰化が著明である
*血管内治療やバイパス術が難しい
*血管内治療で狭窄・閉塞が良くなっても、すぐに再狭窄・閉塞しやすい
*PADだけでなく、心血管障害・脳血管障害を合併しやすい
*関節症などのために歩行距離が短く、間欠性跛行の症状が出にくい
*低栄養、免疫不全のため、傷の治りが遅れる
*体液過剰で浮腫を生じやすく、傷の治りが遅れる
*血液透析で除水するたびに末梢循環が悪化する可能性がある
*尿毒症性物質の蓄積により掻痒感が強く、皮膚の障害が起きやすい
*足底の角化が著明で、皮膚の亀裂を生じやすい
重症下肢虚血(CLI)の透析患者さんでは、救肢できても生存率は不良でCLIの透析患者さんの死因は、感染症と心血管障害によるものが多いとされています。
自分の足で通院出来るように、足に関心を持ち、自分の足は自分で守りましょう
仁誠会クリニック大津 フットケア指導士 田浦 智美(看護師)