平成30年度 フィロソフィ論文入賞作品のご紹介.その2
- 2019.01.8 | お知らせ
フィロソフィ―論文入賞作品のご紹介パート2は、介護老人保健施設ケアセンター赤とんぼの通所リハビリテーション科に勤務する、介護福祉士の松下さんの論文です。
【患者さん・利用者さん第一】
赤とんぼ通所リハビリテーション科 介護福祉士 松下 和
通所は毎日百名近い利用者さんが利用されています。その中でも私の所属するさくらユニットの利用者さんは年齢層も50代から90代と幅広く利用されています。
認知症の方や離設者にはセンサー対応をしています。今まで機嫌良く話していたかと思うと急に帰宅願望が出て手提げを持って帰ろうとされたり何が起こるのか分かりませんので油断は出来ません。
利用者さんが何を一番に求めているのか期限を損ねないようにするにはどうしたら良いのか常に冷静に機敏な対応が出来るように自分なりに対策を考えています。
ある真夏日の出来事です。
Sさんは朝来られると挨拶をする前から「帰りたい」と口癖のようで、「朝ご飯ば食べとらんけんど薬は飲んできたどか?娘は家におるどか?目のゴロゴロするけど目薬はしたどか?」と心配性なSさん。
帰りの送迎で久しぶりに私が送る事になりました。車の中でたわいもない会話をしていましたが「娘はおるどか?」と心配されるので「居なかったら帰ってくるまで一緒に待ちますので大丈夫ですよ。」と声を掛けた。自宅に着くと娘さんの車がなく不在のようです。みるみるうちにSさんの表情が変わるのを察知し「さっき約束したから一緒に帰ってくるのを待ちましょう。」というと安心したのか「おしっこに行きたい。」とポツリ。
これ以上不安な思いをさせてはいけないと思い近くにコンビニがあるので急いで行きましょうと言って連れて行き狭いトイレに二人で入りました。
とても暑い日だったのでお茶を買って飲ませると「あたに迷惑かけたね。ごめんね。でもあただったけん良かった。」と感謝の言葉を述べられました。自宅に到着すると娘さんが帰っておられたので「ホッ」とされ「この人に世話になったけん上がってご飯を食べさせてあげて。」の言葉に、「お母さんがそんな事言うのは珍しか?。今までの中で2人位しか聞いた事ないよ。」と笑って話された。私もまだ仕事中なので帰りますねと言って別れました。
翌日はSさんの担当でした。昨日の事はきっと忘れているだろうと思っていたら、お会いすると「昨日は世話になったね。ありがとう。夕べあたが夢に出てきて、うちでご飯ば一緒に食べよったとたい。目の覚めたらあたがおらんだったけん夢だった。」と話された。
私が夢にまで出てきたと思うと嬉しくて胸が一杯になりました。あまりにも嬉しかったのでさくらの利用者さんに面白おかしく話そうと思い昨日の出来事を話しはじめると、感極まって言葉がつまり泣くつもりではなかったのに涙が出てきてしまいました。私の想いが皆さんに伝わったようで、「こんな良い話が聞けて良かった。いつもあたが良くしてくれるからよ。何だかもらい泣きしちゃった。」と言われとても嬉しかったです。
日々忙しくめまぐるしく一日が過ぎています。限られた時間をいかに楽しく安心して過ごしていただけるよう、利用者さんお第一に考えてこれからも一緒に楽しく過ごしていきたいと思っています。
優秀賞を受賞して・・・
まさか自分が受賞するとは思ってもいなかったのでびっくりしました。sさんに受賞の報告をすると、自分の事のように嬉しいと喜んでくださいました。これからも利用者さんを第一に考え、日々努力して頑張りたいと思っています。