至適透析チーム「 ショック」ゼロを目指して!
- 2021.03.25
- 仁誠会クリニック光の森 透析について
仁誠会クリニック光の森では、安全な透析を提供するために至適透析チームを結成し、チーム内で「溢水(いっすい)」になりやすい患者さん、透析効率悪化で透析条件を見直すべき患者さんのピックアップ、体重増加の多い方の自己管理指導などを行っています。
中でも特に力を入れているのが、※ショック対策です。
昨年の6月、コンソールを全台DCS-200Siへリニューアルしたことで、全患者さんの血液濃縮を監視できるようになりました。至適透析チームの活動として、今年度は血液濃縮の指標となる※BV計のグラフの見方などの勉強会をスタッフに実施し、血圧低下予防に繋げることが出来ました。
その結果として、ショック件数は前年度は19件から、5件に抑えることが出来ています。
現在、当クリニックでは透析導入後間もない患者さんの転入が増えています。
透析導入後は、体調改善により食欲が増加する方が多く、※DW調整が上手くいかないとショックを起こす可能性が高くなります。また、1歩手前のプレショックも同様に起こしてしまうと心身ともに大きな影響を受け、負担がかかります。
至適透析チームでは、ショックはもちろん、プレショックも引き起こさないために、適正除水量、適正除水速度の設定に取り組んでいます。学会などで、体脂肪率とDWの相関性については複数の演題が挙がっていて、体脂肪率と除水量の相関性もあるのだと推測しています。
そこで、各患者さんの体脂肪率をピックアップし、現在の設定除水量を適正除水量とみなして体脂肪率との比較を行っています。
現在、除水量と体脂肪率の相関性は証明されていませんが、日本透析医学会のガイドラインでは平均除水速度は15ml/㎏/h以下を目指すように記されています。この数値は、体重増加量が6%を超えると生命予後は不良になるというデータから考慮されています。しかし、平均除水速度が上限の15ml/㎏/hで除水している方はあまり多くはありません。実際に当クリニックでは、大多数の患者さんが8~12ml/㎏/hの範囲で除水しています。あくまでも平均除水速度が15ml/㎏/h以下ということなので、必ずしもその値に近づける必要はなく、その範囲で個人にあった除水を行うことが重要だと考えられます。中には、無理に除水をしようとする方がいますが、これを指標にして除水に対する考え方の指導も実施していきたいと思います。また、平均除水速度を8~12ml/㎏/hの間で細かく区分して、体脂肪率毎に個別の適正除水量を設定することを計画しています。
体脂肪率から適正除水量の設定が確立すれば、新規の患者さんの除水量も容易に設定できるようになり、ショック防止に繋がります。
これからも至適透析チームとして、「ショック」ゼロへの取り組みを行い、安心・安全な透析を提供できるよう努めてまいります。
※ここでのショックとは、主に循環血液量減少ショック
※BV計・・・透析患者さんの血液量(血液循環量)を監視する装置。
※DW(ドライウエイト)・・・ 余分な水分を取り除いた、その人に合った透析終了時の目標体重。
仁誠会クリニック光の森 技士部 坂本(臨床工学技士)