テーマ【感謝の気持ちを持つ】
- 2020.11.7
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- 所属:
- 赤とんぼ訪問看護ステーション
- 職種・資格:
- 看護師
- 名前:
- 北野 良子
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仁誠会では、「心ひとつ」の理念の浸透のため、毎日その日の指針となるフィロソフィを制定しています。
その中から、自分が取り組んだテーマを論文にまとめ、年一回全職員の中から最優秀賞1名、優秀賞若干名を選び表彰しています。今回は、優秀賞を受賞した論文をご紹介いたします。
私は、この仁誠会に就職して20数年になります。そして、この春クリニックを離れ、介護部門へ異動になりました。この異動が私にとって、とてもいい経験だと感じています。
「管理をしてほしい」と言われて異動したことは事実ですが、今は現場に行かせていただいていることに感謝こそしています。
ある雨が強い日に、介護度5のAさん宅に同行訪問しました。そこは、駐車場もなく人が歩く幅ぐらいしかない道。傘を指しながら着いた頃にはすっかり足はずぶ濡れです。Aさんは、ラジオから聞こえてくる声に時折笑いながら私たちを迎えてくれました。1時間という短い時間に、リハビリ、嚥下体操をし、陰部洗浄、おむつ交換とあわただしく過ぎ、脱水予防のため水分摂取。とろみのお茶とプリンを摂取してもらうのに30分以上費やしながら、誤嚥させないように慎重にかつ、急ぎながら最後に口腔ケアをして終了した。1時間という密度の濃さを感じ、病棟では、時間がかかると、周りが応援してくれたりする事を考えると決まった時間内に指示された内容を完了するという事は当たり前のことかもしれないがプロ意識の高さと繊細な心遣いに感動した。
又、Aさんは通所にも通われていると聞き、この道なき道をどのようにして雨の中送迎しているのだろうかと現場の事を想像し、通所の大変さを一部ではあるが感じることが出来た。このように、クリニックにだけいた時には気づかなかったことに気づけるようになり、医療と介護が重なり合っていると感じた。
訪問には、専門のスペシャリストがいる。自分の専門性に誇りを持ち、自分の時間なのか仕事の時間なのかわからないほどに、利用者・患者のために向き合い、より良い方向性を向いて日々努力している。また、定年後に再雇用で働いている方は、パートであっても緊急で時間外でも患者のところに飛んでいく姿勢は専門職としての熱い気持ちをひしひしと感じる出来事でした。
私は、医療が好きなんです!と頑なに自分の意見を大きな声で公言していましたが、今は、それが自分の思い込みだったように思えてきました。介護部門に行っても、看護師としての専門性は変わらず、患者・利用者の笑顔がみれることで自分の気持ちが満たされることに気づくことが出来ました。そして、場所が変われば求められる能力も変わり、その専門性も透析室とは違った側面で患者、利用者に触れることが出来た。私は、この異動で看護師の働き方や多くの看護師の個性が生かせる場所があることも学ぶことが出来た。何か変な先入観を持っていたのだと改めて感じた。気づきを与えていただいたことに感謝!気づいた自分に感謝!気づかせてくれたスタッフに感謝!だからこそ、これを機会に、もう少し、医療と介護のかけ橋が自分にできるよう努力したいと思います。
優秀賞を受賞して・・・
環境が変わったことで、視点が変えられ新たな発見ができました。そのうえ、このような賞までいただきさらに感謝です。自分にできることは微々たる事かもしれませんが、今回の気づきを患者・利用者さん、そして職員にも、私なりの貢献が出来たらうれしく思います。