「介護」という仕事に携わってきた理由(わけ)
- 2020.07.4
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- 所属:
- ケアセンター赤とんぼ入所科
- 職種・資格:
- 介護支援専門員・介護福祉士
- 名前:
- 田尻 明美
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私が介護の仕事と出会ったのは介護保険制度が始まった翌年の2001年。「介護って何?」と興味が沸いたのがきっかけで、ケアセンター赤とんぼに入職しました。その頃の私は福祉や医療など知識や経験もなく、ただ、人が好きという思いと介護を知りたいとの思いでした。毎日が発見と刺激の連続で時には失敗もする中で、介護の奥深さを実感し、その中で技術や知識の必要性を感じ、ヘルパー2級の資格から介護福祉士、そして介護支援専門員と資格取得し、現在ケアセンター赤とんぼの入所科で施設ケアマネとして在宅復帰のための支援を行っています。ご利用者の状況はお一人おひとり異なり支援の形も様々です。入所されたらご本人、ご家族の意向に沿って目標設定しどうすれば実現できるのか、どのように支援すればご利用者の意欲がわいてくるのか試行錯誤しながら取り組んでいます。
その中のおひとりで102歳になるOさんの在宅支援は、いくつになっても、どんな状況でも目標や希望を持つ事の大切さ、家族への思いが力になる事を強く感じました。Oさんは開設当時からご利用で数年前から施設入所と在宅を繰り返されていました。今年102歳になり、いよいよ食事や水分も入らなくなり、点滴もできない状況で、ご家族から、最期は自宅で看取りたいという意向を聞きました。本人からも自宅へ帰りたいと聞いていたので、その思いをなんとか叶えたい。少しでも家族と共に過ごして欲しいとの思いで在宅の準備にとりかかりました。
Oさんの体調はすでに車椅子に座る事すら厳しい状態でしたが、帰る準備をしている事を話しかけると、大きく頷き傾いた体をおこし食事を摂ろうとされる姿がみられ、退所時にはありがとうと嬉しそうなお顔でご自宅へ帰られました。自宅では庭を眺めたり、息子さんが作った食事を摂ったり、ご家族と穏やかに過ごされ二日後眠るように亡くなられたそうです。自宅で看取るという事は、ご家族にとって初めての事でもあり、不安も強く大変であったと思いますが、背中を押してもらってよかったと言っていただき、ご本人にとっても住み慣れた自宅で家族と共に過ごしたひとときは幸せな時間であったと思います。
私は介護に正解はないと思います。視点が変われば問題点は変わりご利用者の生活は変わります。何をもって正解とするか・・・私は心からの笑顔をご利用者ご家族からいただいた時、大きな喜びを感じます。その喜びの積み重ねが、18年という歳月、介護という仕事に携わってきた理由かもしれません。長い月日の中では退職を意識した時もありましたが、そのたびになぜか涙があふれ何がそんなに悲しいのかと自分自身に問いかけた時、支援していたつもりが実は私自身がご利用者に癒され、育てられたのではないか・・もう少し頑張ってみようと・・・。気が付けば今年は入職19年目になろうとしています。