フットケア便り6. 低温やけど
- 2019.12.18
- 仁誠会クリニック大津 フットケアについて
冬の季節に欠かせない暖房グッズに、使い捨てカイロ、湯たんぽ、電気あんか、電気毛布、電気こたつなどがあります。熱すぎず、ほどよく気持ちよく暖まることができる優れものでも、皮膚の同じ部分に長い時間接触していると低温やけどを発症してしまいます。
低温やけどは、痛みを伴わず気づかないうちに進行することが多く、重症化してしまうことも多いので油断大敵です。
暖房グッズの取扱説明書をよく読んで、正しく使用し、低温やけどを起こさないように注意しましょう。
低温やけど
私たちの体は、直接火に触れたり熱湯がかかったりした場合、ほんの一瞬で「熱い」と反応し、すぐに熱源から離れるため、やけどを負ったとしても、皮膚の深部までやけどが及ぶことはそれほど多くありません。その一方で、体温より少し高い、触れていて「あたたかくて気持ちいい」くらいの温度で、長時間触れ続けることでやけどを負うことがあります。このような体温より少し高い60℃以下の熱源に長時間触れ続けることによって起こるやけどを「低温やけど」と言います。
なぜ足の低温やけどが多いのか
①脚は知覚が鈍い
②特にかかとやくるぶし、すねなどは皮膚のすぐ下に骨があるため、
毛細血管が圧迫されやすく血行が悪くなる
重症化しやすいのはなぜ?
①熱源が低温のため、長時間触れていても熱さや、痛みを感じにくい
②やけどが低い温度でゆっくり進行するため、気付きにくい
③皮膚の深部にまで及ぶ
【表皮熱傷】:皮膚が赤くはれる
【真皮熱傷】:水ぶくれができる
【皮下熱傷】:皮膚が白っぽくなり、水ぶくれができないことが多い
④見た目にひどい症状に見えないため軽傷と勘違いしてしまう
⑤治るのに数か月かかることもある
⑥皮下熱傷の場合、感染症にかかりやすい
⑦なかには、植皮などの手術が必要になる事もある
やけどは「時間×温度」の関係で発症する
※ 取扱い説明書をよく読んで、使用しましょう。
低温やけどにならないためには
①暖房グッズは、使用する前に取扱説明書を確認し、正しく使う
②暖房グッズを直接肌に触れないようにする
③体の同じ部位を長時間温めないようにする
「熱い」など違和感を感じた場合は使用を中止する
使い捨てカイロ
①貼るタイプの使い捨てカイロは必ず衣類の上にはる
②同じ個所に長時間あてないようにする
③貼ったまま眠らないようにする
④貼った部分をサポーターやガードルなどで圧迫しない
(圧迫すると血流が悪くなりやけどの進行が早まる可能性がある)
靴下用使い捨てカイロ
①酸素の少ない靴の中で使用するようにつくられているので、靴を脱いだ状態で使用しない
(体の他の部位に使用すると酸化反応が過剰に起こり高温になる危険性がある)
②靴の中以外の部位では使わない
③使用直前に開封する
(開封してしばらく放置すると温度が高くなることがある)
湯たんぽ・あんか・電気あんか
厚手のタオルや専用のカバーなどに包んでいても低温やけどを起こしてしまうことがあるので注意が必要
①就寝前に早めに布団に入れて布団を温めておき、就寝時は布団から出す
②足に直接当てない(足を押し付けるように乗せたりすると、その部分が圧迫され血流が悪くなりやけどの進行が早まってしまう可能性がある)
電気毛布・電気敷布
就寝前に早めにセットし布団を温め、就寝時には電源を切るか、タイマーを1~2時間で切れるようにして、一晩中使用することは避ける
電気こたつ
電気こたつに入ったまま眠らない
ホットカーペット
ホットカーペットの上で眠らない
ストーブ
電気ストーブを足元近くに長時間おかない
ストーブの前で眠らない
ひどく疲れがたまって眠り込んでしまう・お酒を飲みすぎて居眠りしてしまうようなときは、熱さに対して反応が鈍くなっている可能性があるので注意しましょう
低温やけどになったら
あまり痛みを感じなくても、皮膚の深いところでやけどを起こしている可能性があります。
水ぶくれができた場合は自分でつぶしたり、アロエや油、みそなどを塗ったりなど民間療法で対処しないようにしましょう。雑菌が侵入し感染症にかかってしまう恐れがあります。必ず、医療機関を受診しましょう。
糖尿病で神経障害がある方や高齢者は、本人だけでは気づきにくいため、家族や介護者が注意し、低温やけど予防をしましょう。
フットケア便りは、今回で終了となります。足に関心が持てたでしょうか?
いつまでも自分の足で歩けるように、自分の足は自分で守りましょう。
仁誠会クリニック大津 フットケア指導士 田浦 智美(看護師)