料理に着目した生活リハビリ
- 2019.07.20
- ケアセンター赤とんぼ
電子レンジで火を使わない小松菜のベーコンソテー
今回は、家事動作の中の一つ、料理に着目し、春にまいた種が梅雨の雨でぐんぐん成長している赤とんぼ畑の小松菜を使って、電子レンジの料理教室を実施しました。料理は手先を使うだけでなく、準備から下処理、調理、盛り付けと考えながら進めるため前頭前野の働きを活性化します。
メンバーは、小松菜の種をまいて育ててくださったFさん、自宅で電子レンジ料理を活用されているSさん、自宅で料理にチャレンジしたいYさんの3名です。
無農薬で育った小松菜を栄養科の協力のもと、きれいに選別してもらいました。料理に使える分だけでもどっさり。青々とした色味にみなさん「きれいね~」と思わず笑顔になっていました。特に種から育てたFさんは、小松菜の成長に「こんなに大きくなって」と感激されていらっしゃいました。
料理が始まると、みなさん素晴らしい手際の良さで、工程を確認しながら次々と材料を切っていかれました。そんな中、家ではなかなか意欲がわかず、ほとんど料理をしないYさんに変化が。料理教室前は、「包丁を持つのも久しぶりで怖い」と話され料理にも消極的だったYさん。いざ参加してみると、担当セラピストの後押しもあり、なんと包丁にチャレンジされているではありませんか!食材に触れ、みなさんの料理をする雰囲気や、久々に包丁を握る感覚に刺激を受けたのか、あっという間に小松菜を切り終えてしまいました。
料理の手際や包丁操作は手続き記憶といって、体が覚えている記憶の一つです。馴染みのある作業でもあり、「役割」を再認識し、「自信の回復」にもつながります。思っていた以上に体が料理の動きを覚えていたことで以前の記憶がよみがえり、「若い時はこうしてたのよ」「これはこうやって料理するとおいしいのよね」と、料理の話で盛り上がりました。
電子レンジの工程は慣れていらっしゃるSさんに中心になってすすめていただきました。「電子レンジでこんなことができるのね」と電子レンジ料理が初めての2人は驚かれ、ベーコンソテーの味に満足されていました。その後はフロアの皆さんで試食し、赤とんぼ畑で収穫した小松菜を味わいました。
試食の際は調理方法なども話しながら試食していただき、後日、「作ってみたよ!」との声をたくさんいただきました。楽しみとして調理をするだけではなく、安全に行える調理方法の提案、自宅で調理を行うきっかけづくりとして今後も関わっていきたいと考えています。
畑で小松菜を育てるチャレンジ、久しぶりの包丁にチャレンジ、電子レンジ調理にチャレンジ、自宅での調理にチャレンジ、たくさんのチャレンジに関わることができ、私たちもやってよかった!また新しいチャレンジを応援したいという気持ちにさせていただきました。
通所リハビリテーション科 高山(作業療法士)